こんにちは、emet(@emetblog)です!
今回は、コンセプトづくりの際に使える「トライゴンハニカムチャート(以下「トラハニチャート」)」について、『ビジネスを成功させる-コンセプトづくりのフレームワーク』という本から学び取っていきたいと思います。
このフレームワークは、特に専門知識も必要なく、コンセプトの策定・検証・評価の”見える化”が可能な方法です。
中小企業診断士も応用されているものになりますので、実務に即しているテクニックといえますね。
・ビジネスで成功したい人
・他と差別化されているモノをつくりだしたい人
・コンセプトを論理的に説明することが出来ない人
では、どういった本なのか見ていきましょう( ..)φ
「トラハニチャート」とは
まず、「トラハニチャート」とはどういうものなのか説明します。
上の三角形と丸を組み合わせた図が、トラハニチャートになります。
この名称自体は、本書の著者が名付けたそうです。
外側に大きな円が3つ、中心に1つ、それを挟み込むように3つ、外側の3つを挟むように円が3つ、合計10つの円を線で結んで構成されています。
これをコンセプトづくりや分析の際に利用することで、明確でわかりやすく表現できると説明されています。
どのように使用するのかというと、以下の図のように円の中に埋めていきます。
- 三角形の頂点にあたる円3つに「提供価値」を書く
- 提供価値を実現できる「手段方法」を間に書く
- それらを「一言で表すコンセプト」を真ん中の円に書く
これが基本的な流れになります。
3つの「期待成果」が残っていますが、これらはなくても機能するようです。
これらを加えることでより明確でわかりやすくなるので、付いているものだと考えていいでしょう。
本書では、この図を利用して多くの実例が解説されています。
ここでは7個の円を使った事例が1つ、10個の円を使った事例を1つ、合計2つの事例を紹介して考え方を学んでいきましょう。
実例①:無印良品
(株)良品計画が運営している「無印良品」ですが、皆さんご存知だと思います。
この無印良品をトラハニチャート(7つ)に表すとこのようになります。
提供価値としては、「お手頃価格」「シンプル美品」「ECOライフ」の3つが挙げられます。
これは、なんとなく想像がつくと思います。
高品質の割に安く、シンプルで、環境にいい、というイメージがそのまま提供価値にあたります。
そう考えると、提供価値をうまく顧客に発信できている成功事例と言えますね。
次に、間の円を埋めていくわけですが、「お手頃価格」と「ECOライフ」を実現するための手段として「包装の簡略化」が挙げられる、というように考えていきます。
包装を簡略化することで、余計な素材を使わないので環境にも優しいし、その素材分価格が安くなるのでこれが成立しますね。
「シンプル美品」と「お手頃価格」を考えた場合、「工程の点検」を行うことで余計な装飾という無駄を減らし価格も安くなっています。
「シンプル美品」と「ECOライフ」を考えた場合、環境に良くない素材を使用しない「素材の選択」を行う事で結果的にシンプルでECOな商品が実現しています。
そしてこれらをまとめたものが、『無印良品』となるわけです。
このようにまとめると、非常にわかりやすいですよね。
明確に提供価値と手段がわかるので、従業員にとっても自分がどのような行動を取るべきなのか分かる、というメリットもあります。
では、もう一つの事例も見てみましょう。
実例②:初音ミク
次は「初音ミク」のコンセプトについてです。
音声合成ソフトウェア”VOCALOID”の一つである「初音ミク」ですが、これをトラハニチャートに表すと以下のようになると考えられます。
この図の「提供価値」は、一般消費者、企業、クリエイターの価値が抽出されています。
一般消費者は、「自由で多様な楽しみ方」が得られる。
企業は、「多様な商品展開」で商品の売り上げが得られる。
クリエイターは、「メジャーデビューの可能性」で関連商品の販売が得られる。
そして、それぞれを繋ぐものとして「魅力的なキャラ」「動画/イラスト投稿」「自由度が高いライセンス」が挙げられています。
これは、恐らく他のVOCALOIDでも言えることですが、魅力的なキャラクターとして売り出していたのは大きいと思います。
音声合成システム自体は、別の商品も存在していますが、VOCALOIDがここまでの人気を得ているのは、キャラクターとして売り出していたからでしょう。
つまり図で表すのであれば、他の商品は「魅力的なキャラ」の円がないため、「自由で多様な楽しみ方」「多様な商品展開」の円が作れなかったと言えます。
最近では、株式会社エーアイが作っている“VOICEROID”もありますが、これもやはり魅力的なキャラクターを採用することで支持を得ています。
このようにトラハニチャートにすることで、他の商品との違いもわかりやすく分析できるので、非常に便利なフレームワークですね。
注意点
トラハニチャートを作る際の注意点を紹介します。
「MECE」で考える
「提供価値」を考える際には、「MECE」を意識しなければなりません。
「MECE」とは、モレなくダブりなくということです。
もし、男性と女性の区分分けをするのであれば、こういうことになります。
詳しくは別記事で>>【必見】『イシューからはじめよ』安宅和人|方向性の大切さ【解説】 | emetblog
同じような内容で構成した場合、効果が薄くなってしまうからです。
できるだけ、いろいろな視点でモレなくダブりなく考えるようにしましょう。
差別化は本当にできるのか考える
商品の差別化をする際は、「手段方法」の円が他と違っていることを考えると思います。
一方、真ん中の「一言主張」つまりコンセプトにあたる円ですが、「誰に、何を、どのように」提供するのかを表したものになります。
つまり、「手段方法」を考えた時に「わが社の〇〇という技術を活かして」のように考えてしまうと、「誰に、何を」という部分の考えが抜け、「どのように」の部分だけが強調されてしまいます。
本書ではこれを“コンセプト不全”としていました。
マーケティング用語で表すのならば、「プロダクトアウト」的な考え方と言えるでしょう。
初音ミクの事例を参考にすると、わかりやすいかもしれませんね。
まとめ
以上、実例をもとにトラハニチャートの使い方について学んできました。
使い方は、簡単だったと思います。
考えも整理されて、コンセプトづくりには最適なフレームワークでしょう。
今回、例を軽く2つ紹介しましたが、本書では13つの事例が紹介されています。
マクドナルドや白い恋人など、みなさんが知っているものも多くあります。
無印や初音ミクについても、より詳しく解説されています。
ここまで読んで気になったという方は、ぜひ一度読んでみてください!
きっと、ビジネスでもプライベートでも役に立つと思いますよ!
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